第一話

仲間と共に地球侵略の任務についているグレイ型宇宙人9997号は地球へ向けてUFOを走らせていた。

「チキュウジン、オモシロイナ」

グレイ型宇宙人9997号は大量の地球の資料を読み込んでいた。その中にはアニメやらゲーム、歴史など多岐にわたる。

「ハヤク。シンリャク、シテ、ナカマニホコウクスル」

仲間の通信機に他異星人の女性から連絡が入る。仲間は彼女とデートするからと言い残し、任務をグレイ型宇宙人9997号に任せてUFOを離脱してしまう。

エッ!オレガヒトリデシンリャクスルノ?

グレイ型宇宙人9997号は戸惑いつつ、任務を遂行しようと決める。

だが、乗っているUFOが妙な音を立てている事を彼はまだ知らない。


第二話

王宮に突如、突っ込んだUFO。異質なそれに人々は驚いていた。
それはグレイ型宇宙人9997号も同様であり、データ情報から地球とは別の惑星であることを認識する。
グレイ型宇宙人9997号は翻訳機能をオンにした。

マジか。この任務詰んだ…。

年配の男の声が神の使いが来たと騒いでいる。この国の王と思われる男はグレイ型宇宙人9997号を天から遣わされた者だと思っているらしい。

「いや、俺は…」

グレイ型宇宙人9997号は困惑した。広場に集まった群衆は彼に敬服している。
聞いた話では魔王討伐とやらを行う勇者を選別しているらしい。

うわ~。面倒ごとに巻き込まれた。
よし。ここは誰か別の人に押し付けよう。

グレイ型宇宙人9997号は自身の手に握られた英雄の剣を近くにいた少女に手渡した。

「えっ!私が勇者⁉」


第三話

「いや、だからね」

グレイ型宇宙人9997号は困惑していた。目の前で服を脱ごうとしているエリカは覚悟を決めている。

「私を勇者に選んでくださった神の使いが望むなら私の体、喜んで差し上げます」

いやいや、俺、ただUFO探してただけだし。

「君には悪いけど…」

正直、人間形態の女性に何の感情も抱かないんだよな。
ああ、グレイ型宇宙人養成所にいたマドンナちゃんの方が…。
あの肌を覆う光沢が…ってそんな場合じゃねえ。

「失礼しました。神の使いともあろうお方が私のような貧相な体に興味などあるはずなかったですわね」

そんな、あからさまに落ち込まなくても…。

エリカは大粒の涙を流す。

なっ!こっちが悪いの?