「さあ、またこれはひどい怪我ですね」

「すみません、私の力が至らないばかりに……」

「いいえ。無事ならそれで良いのですよ。永遠(とわ)と美羽さんには手当の準備を頼んでおりますので、ゆっくり休んでください」

「はい、ありがとうございます」

 結月は右肩を抑えながら、ゆっくりと廊下に向かって歩き出した。
 蓮人が心配そうにその様子を眺める。

「蓮人、永遠(とわ)と美羽さんのところまで一緒に行ってもらえますか?」

「──っ! かしこまりました」

 蓮人は自分の思考を読まれたことに、驚きを隠しきれなかった。

「結月さんだけが戻ったということは、朔様と瀬那も無事なはずです。実桜、念のため医療班に連絡をお願いします」

「かしこまりました」

 実桜は軽く頭を下げると、凛のもとを離れて連絡に向かった。

(さて、朔様と瀬那の帰りを待ちますか)