朔が琥珀に乗り、飛び出していった様子を眺める凛。

「凛さん、よかったのですか? 朔様を行かせてしまって」

 ゆっくりと姿が小さくなる朔を見つめながら、実桜が凛に聞く。

「ああなるともう、朔様は止めても無駄ですよ」

 実桜が凛のほうを見ると、優しく微笑みながら朔を見つめる姿があった。

「そこまで朔様が、結月を心配してるようには見えなかったですけど……」

 蓮人が駆けてきて乱れていた呼吸をやっと整えて、凛と実桜のもとへ近づく。

「あの方は言葉が少ないだけなんですよ」

「まあ、俺たちもそれは感じてます。でも結月にだけはなんか違うっていうか……」

「遠からず、近からず、といったところでしょうかね」

 蓮人は凛の発言の真意を読めず、首をかしげる。
 実桜も興味深そうに耳を傾けていた。

「先日もそうだったのですが……」

 そういうと、凛はゆっくりと語り始めた。