朔は大太刀の切っ先を魔夜に向ける。
 そして魔夜に向かって駆けだした。
 
 朔が駆け寄る気配を感じた結月は、双剣を構え、目を閉じて呼吸を整える。
 
 その間に結月と魔夜のもとに一気に駆け寄る朔。
 そのまま大太刀を両手で持つと、切っ先を空に向けて振り上げる。
 一瞬の静止の後、一気に大太刀を振り下ろして魔夜に斬りかかる。

 朔の大太刀は魔夜の右肩から左太ももまでを一気に切り裂いた。
 
「……」

 切り裂かれた魔夜は、【朔】の姿を維持できずに土人形のような姿になる。

「結月っ!!」

「はいっ!!」

 朔が結月に合図をすると同時に、結月は目をかっと開いて頷き応える。

 結月が魔夜を見ると、魔夜の腹の部分に心臓のようなものが見えた。
 地面を蹴り、一気に飛びあがると、そのまま魔夜の心臓めがけて双剣を突き刺す。

「……」

 心臓を貫かれても、言葉も発することがない魔夜。
 やがて、自身の肉体は完全に土人形のそれとなり、ぼろぼろと崩れ去っていく。
 そして、完全に灰になって消えていった。

 結月と朔はその姿を黙って眺めていた──