朔の攻撃によって吹き飛ばされていた魔夜が、ぬらりと起き上がり結月と朔に視点を合わせる。
 痛みを感じていない魔夜は、関節を鈍い音と共に戻すと、そのまま結月と朔の真正面から向かって来る。

「来るぞ」

「はいっ!」

 結月と朔は互いに剣を構えて、魔夜を迎えうつ準備をする。
 結月は双剣を胸の前で交差して構える。その刃は千草色に輝きを放つ。
 朔は太刀を大太刀へと変化させる。その刃は金色に輝きを放つ。

 朔が先行して刃を振るい、衝撃波を打つ。
 その衝撃波に合わせて結月が駆け出し、魔夜へと一直線に向かう。

 朔は『前に出るな』といったばかりだと、心の中で思いながら結月の後ろ姿を見つめる。

 一気に結月と魔夜の距離が縮まる中、朔の放った衝撃波が一足先に魔夜のもとへと届く。

 魔夜はその攻撃を受けるべく、結月と相まみえる前に足を止めた。

「……」

 衝撃波が魔夜の受け身を崩していく。
 その隙を狙い、結月が変化して湾曲した千草色の刃を魔夜に振りかざす。

 結月の振るう刃は魔夜の胸部分を切り裂いた。
 魔夜はそのまま受け身を崩され、朔の放った衝撃波と二重で攻撃を受ける。

「……」

 その時、魔夜の顔にひびが走った。

「──っ!」

 結月が見つめる前で、朔の姿を借りた魔夜が崩れ始めた──