戦況は朔に利があるのは変わらなかった。
 結月は右肩を抑え、朔のもとへと走る。
 やがて、朔に近づくに連れて双剣を構えなおし、魔夜へと攻撃できる態勢を作る。

「朔様っ!」

「来なくていい」

「いえ、私は【刀】です。あなたを守りたいです」

 結月が朔を見つめながら決意を込めて言うと、朔は一瞬彼女のほうを見たあとすぐに魔夜に視線を向けなおした。

「俺は【俺】自身を葬り去る。それにお前は【刀】にこだわりすぎるな。それに……」

 朔が珍しく言葉に詰まった。
 結月が不思議に耳を傾ける。

「それに、俺の前に出るな。俺の横にいろ」

 結月はわずかに瞳孔を開き、朔を見つめる。
 守るでも守られるでもない『共に闘う』というその言葉に、結月は顔をほころばせた。
 朔自身のその優しさと力強さに、結月は信頼を預けることにした。
 と、同時に、結月の中で『淡い深愛』が芽生え始めていた。