「──」

「……」

 朔と魔夜、どちらも言葉を発することなく、刃がぶつかり合う。
 何度も角度を変え、攻防を繰り返す刃、二人の朔。
 背丈や攻撃の動きは素人目には同じに見えるだろうが、結月や瀬那にはやはり違ってみえた。

「……朔様……」

「やはり、さすが朔様だぜ……、動きがまるで違う」

 瀬那の言葉の通り、事実戦況の利は朔にあった。

 朔の振るう刃が、魔夜の右肩を斬りつける。

「……」

「痛みも感じぬのか」

 朔の言葉の通り、魔夜は『痛み』すら感じていなかった。
 自分自身が斬られようと、魔夜はその能面のような顔を止めない。