背中を大きく打ち付け、さらに右肩に深い傷を負った結月は強烈な痛みに襲われていた。
 さらに、朔の姿をして【朔への忠誠心】に反応する魔夜を前に、彼女の頭の中には『絶望』の二文字が浮かんでいた。
 呼吸が苦しく起き上がることもやっとの彼女の前に、魔夜が迫る。
 
「はぁ……はぁ…………」

 刀を持ち上げようとするが、右腕が痺れて動かない。
 魔夜の動きの速さを計算して、身体を動かすよりも左腕を上げることを優先する。
 振りかざされる魔夜の刀が結月の顔に触れるその瞬間に、結月は左腕の刀を合わせて防いだ。
 
「くっ!」

「……」

「結月ちゃんっ!!」

 瀬那が呼びかけるも、自分自身も岩に叩きつけられた影響ですぐに動くことができなかった。