中には朔だけではなく、凛と実桜の姿もあった。

「蓮人、状況はどうなっていますか?」

 凛が問う。おそらくもう気配から状況をある程度把握していると思われた。
 朔、実桜もその言葉の返答を待つように蓮人を見つめる。

「結月、瀬那が敵と交戦中です。敵は朔様の姿をした魔夜と名乗る妖魔。朔様の魂に傷をつけた際の成分を使った【分身体】だと言っていました」

 その言葉に凛が反応を示す。

「朔様の姿をした妖魔……やっかいですね。朔様、実桜か私のどちらかが向かおうと思いますが、いかがでしょうか?」


「────俺が行く」

 その場にいた守り人は全員驚き、また制止しようとした。

「朔様!! それはなりません、朔様だけは宮廷でいていただきます」

 朔はその返答を聞くと一蹴した。

「俺は俺の分身体を倒す」

「違います! 朔様は結月さんがご心配なのでしょう?! お気持ちはわかりますがここは宮廷で……」

 朔はその言葉を最後まで聞かずに琥珀に飛び乗ると、窓から外に出てしまった。

 出て行った朔を凛はつぶやく。

「……頑固なんだから……」