蓮人は夜の森を駆けていた。
 瀬那と結月が戦っている間、蓮人は宮廷に敵の襲来とその詳細を伝えるために戻っていた。
 
 守り人の中で一番足が速く身軽なのは蓮人である。
 このことから結月と瀬那、蓮人は瞬時に蓮人を宮廷へ戻るように判断をした。

「はぁ……はぁ……」

 療養明けのイグを使った全力疾走は蓮人の体力を削る。

 やがて、宮廷が見えてきた。
 明かりの灯る最上階、朔のいる執務室を目指す。

 蓮人は宮廷の中の廊下を走り抜け、執務室前まできた。
 すると、執務室から複数人の声がした。
 蓮人は構わずに扉を勢いよく開ける。

「朔様っ!!」