魔夜が瘴気をまとい、一気に刀を振り下ろす。
 その攻撃で瀬那の張った結界にひびが入る。
 壊れる寸前で二人はそれぞれ飛び退いた。

 魔夜は結月を狙って、刀を振るう。

(攻撃はひどく単調。だけど、単純に力が強い。それにこちらから攻撃をすれば私たちの【思い】に反応してさらに強くなられる)

 刃と刃がまじりあい、甲高い声が森に響く。
 結月は攻勢に出ることができず、相手の攻撃を受け流すことしかできないでいた。

 一方瀬那も同じく、相手の刃を打ち払うことと、結界で守ることしかできない。

 二人は完全に勝機を見いだせないでいた──


(考えろ、集中しろ)

 結月は攻撃を受け流しながら必死に打開策を見出そうとする。
 しかし、防戦一方の状態にも限界がきていた。

「──っ!」

「結月ちゃん!」

 相手の攻撃が結月の右肩を襲う。
 急いで飛び退くがかなりの深手を負った結月。

(──っ! どうすればいい……)

 朔の姿を悪用されていることへの怒りと何もできない悔しさが結月を襲っていた──