「──っ!」

 結月に攻撃を仕掛ける魔夜。
 いきなり飛び掛かられた衝撃で右腕にかすり傷を負う。

「結月ちゃん!!」
「結月!!」

 双剣を押し込みながら、相手を押しのけて距離を取る。
 瀬那と蓮人がすかさず攻撃を仕掛ける。
 だが、朔の姿をした魔夜に対して無意識に抑制本能が働き、うまく攻撃に転じられない。

「くそっ! 朔様の姿じゃ、うまく戦えねぇ」

 結月もそれは同じだった。
 朔の姿をされていては本気で戦うことが難しい。

 結月は長期戦になることを判断して、二人に声をかけた。

「蓮人さん、一時離脱して朔様達に現状報告をお願いできますか? 瀬那さんは私と残ってこのまま戦ってほしいです」

「「了解した」」

 三人とも考えは一致していた。朱羅の直属配下と考えられる妖魔二体に対してこの三人では分が悪い。
 その場合、一番足の速い蓮人が報告にいくのが適当だと考えられた。
 凛の場合は式神が使えるが、この三人は使えない。足で行くしかなかった。

 蓮人は二人に背を向け、宮廷へと急いで走った──