その時、非常に強力な妖気と共に、結月には見覚えのある双剣を持つ魁が突如目の前に現れた。

「──っ!」

「久しいな、涼風家の娘」

「お前は朔様を貫いた妖魔!!」

「「──っ!」」

 二人は驚き、怒気を強める。

「お前が朔様を……」

「朔……ああ、それはこういう姿の人間でしたかね……」

 そういうと、魁の横には朔が立っていた。

「朔様……!!」

 一瞬戸惑ったが、三人は気配で”それ”が朔ではないことを理解した。
 妖魔が朔の形をしている。その状況だけで三人の怒りを増幅させるには十分だった。

「魔夜(まや)、この者たちを壊しなさい。そして他の守り人と一条朔も殺すのです」

「……」

 魔夜とよばれたその妖魔はやがてゆっくりと一歩を踏み出した。
 その瞬間、その場にはもういなかった。