「力の暴走のことだろう」

「……はい。自分でもどうしていいかわからず、朔様なら……『イグの行使者』の力を正しく使う朔様にご助言をいただきたく……」

 結月は堰を切ったように話し出した。
 もはや自分では抑えられない感情を自分自身でも驚くほど朔にぶつけていた。
 朔はその話を黙って聞いていた。

「自分自身が怖くて……暴走してしまう恐ろしさとそれを抑え込みたい気持ちで……」

 結月は次々と話す。

「私は私の力がわかりません!私はいつか自分の力を制御できずに、皆さんを傷つけてしまうのではないかと。私は【刀】になると決めました。その【刀】が役に立たないなんて、意味がありません!私は……私は……」

 その時、朔が結月を勢いよく抱き寄せた。
 自分の胸に結月の顔を押し当て、結月の気持ちを包み込むように抱きしめた。
 その瞬間、結月の頬を涙が伝う──