結月は自室で静かに考え込んでいた。

(どうすれば暴走しなくなるんだろう……)

 涼風家の蔵へ行った後も結月は妖魔退治に奔走していたが、集中できないでいた。
 暴走することへの恐怖。そこからうまく力を発揮できずにいた。

(こんな時、朔様なら……)

 また、朔のことが頭に浮かんでいた。
 同じ『イグの行使者』として力を使いこなす朔は、結月にとって目標でもあり憧れでもあった。

(今行ったら迷惑かな……?)

 夜も深めの時間になっていた。
 朔はまだ起きてはいるだろうが、こんな時間に訪問は迷惑だろう。
 だが、どうしても今夜の結月は朔に会わずにいられなかった──