「朔様っ!」

(無駄だよ……皐月があいつらを殺す……)



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「朔様……」

「ああ、強大な反応が消えたあとにわずかに妖気を感じた」

 朔と結月は神経を研ぎ澄ませて、異質な何かを読み取ろうとする。
 強大な力の消失と何か感じる違和感。
 結月は双剣に手をかける。


 その時は突然やってきた。
 宮廷の床からその”何か”は現れ、一気に結月に距離を詰めてくる。

 結月は咄嗟に双剣ではじき、押し戻す。

「あーあ……ばれちゃったか……。せっかくここまで妖気を消してきたのに……」

 そこに現れたのは、子供だった。
 結月は戦闘態勢に入り、琥珀も主人の前で唸っている。


「斎の死が無駄じゃないか~」

「いつき……?」

「まあ、守り人連中にやられたみたいだけどね。どっちでもいいさ、僕は君たちを殺しにきた」

「君たち……」

「そう、朱羅様に命令されてるからねっ!」

「朱羅っ!?」

 結月が朱羅の名を口にしたときにはすでに皐月は距離をつめていた。

「──っ!」

 結月が双剣の片方をはじかれる。

(──っ!しまったっ!)

 すぐさま皐月がその手に持った大鎌で結月に斬りかかる。
 防戦一方になる結月は片方の剣のみではじきながら、もう片方の剣を拾う隙を窺う。

「琥珀」

 朔の合図と共に琥珀が皐月の腕にかみつく。

「──っ!痛っいなあ、もうっ!」

 皐月は琥珀めがけて大鎌を振りかざす。
 大鎌が琥珀を斬りつける。

「くうんっ!」

 琥珀がかみついてできたわずかな隙を狙い、結月は走り、双剣の片割れを拾って攻撃に転じる。

「はっ!」

「──っ!」

 油断した皐月に結月の双剣が届き、左腕にわずかな傷を作る。

「もうっ!さっきから痛いなあっ!」

 瘴気をまとった大鎌が結月を襲う。

「──っ!」

 避けきれなかった結月は柱へと吹き飛ばされる。

「ぐっ!」

「結月っ!」

 朔が結月の名を呼んだ。

「朔……様…………」

 皐月はその隙に朔に大鎌を振りかざした。
 瞬間、朔は腰につけていた刀を抜き、応戦する。


「なに……その色……」


 朔の持っている刀は金色に染まっていた──