守り人たちは東へと駆け抜けていた──
 もはや常人ではない速さで宮廷の裏から森へと入る。
 妖魔退治の能力を持った守り人たちは、通常の人間では考えられない速さで走ることができる。

 あっという間に妖気の放つ東の森があった場所に着いた。

 そこには一人の子供がいた。

「……こども?」

「気をつけろ。妖気はあの子供から放たれている」

 実桜はそういいながら構えた。

「あれ……ここはどこだろう……」

 子供が寂し気にこたえる。

「なんだあいつ」

 蓮人は訝しげに子供を見る。

「君たち……あ、そっか君たちが朱羅様のいっていた『イグの行使者』か!」

「──っ!」

「朱羅だと!」

「あれ……でも女じゃないなあ……朱羅様は双剣の女を探せっていってたのに……」

(結月さんを探している!)

「まあ、いっか……僕と遊んで」


 刹那、子供は急速に距離を縮めた。どこから出したのかわからない鎌を持って蓮人に切りかかる。

「くっ!」

 蓮人は押され、木に背中から打ち付けられた。

「ぐはっ!」

「「「蓮人っ!」」」

 他の守り人が蓮人の名を呼ぶ。
 全員が武器を構える。

 子供は首を斜めに傾けて守り人たちに向かって言った。

「さあ、宴のはじまりだよ」

 子供はにやりとした顔つきで守り人たちに微笑みかけた──