「どうした、ご当主様よ! 早速息が上がってるんじゃねえか?!」

 朱羅の刀は朔を圧してた。
 受け身に回る朔に対し、攻撃の連打を繰り広げる朱羅。

 朔が圧されているのには理由(わけ)があった。
 朱羅が朔の持つ天牙の太刀の特性を理解し、大太刀へと変化させると動きづらくなる狭い執務室へと最初の一撃で朔を吹き飛ばし、戦いの場を整えていたからだ。
 朔は大太刀にすると可動域が狭くなるのを危惧し、変化させられずにいた。

「大方俺を全員でぶっ潰すつもりだったんだろうが、当てが外れたな。俺は一騎打ちを好む主義なんでね。それと、まずは時哉の息子であるお前から殺す」

「よくべらべらと喋るものだな」

 朔は朱羅に向かってイグの力を込めた波動をぶつけるが、朱羅はひるむことなく朔に攻撃を仕掛けてくる。

「時哉は愚かにも涼風に手を貸した上に、俺を偽善者の如く助けようとした。可哀そうにな……千里のダチでなきゃ死なずに済んだのによっ!」

 朱羅は言い終わるか否かで刀を振りかざし、朔に切りかかる。
 朔はその攻撃を太刀で受け止める。
 二人の表情が刀身に映る。