「まあ、冗談はここまでだ。どうだ? 闘う準備はできたか?」

 その言葉により一層刀に込める力が強まる結月。


「さあ、宴の始まりだ」


 その言葉と共に、朱羅は結月とは対角線上にいた朔のほうを振り向き、一気に迫る。

「朔様っ!」

 結月たちの駆け寄りを許さないとでもいうかの如く、朔と結月たちの間には魁が立ちはだかる。

「お相手していただきますよ?」

 魁は双剣を構え、結月に向かって攻撃を加える。

 朔と朱羅。
 
 結月たちと魁。
 
 
 短くて長い決戦が今始まった──





 宮廷内に響き渡る轟音。
 
 永遠(とわ)と美羽は戦闘から身を守る緊急避難室で待機を命じられていた。

「こんなときに何もお役に立てないなんて……」

「何も役に立てないんじゃない、立つのよ! 速やかに怪我人の処置ができるように整える。そして、戦闘が終わった時に笑顔でお迎えする。それが私たちにできる唯一のことよ」

「……うん、そうだね。僕たちも一緒に闘おう」

 永遠(とわ)と美羽は薬室へと向かい、走り出した。





 朔と朱羅の闘いは序盤から熾烈を極めていた。