「綾城の周りの状況はどうなっている?」

「依然、特に変化はなしです」

 朔の確認に対し、端的に状況報告をする凛。
 金翠の間では、結月たちが招集され、皆『災厄』に備えて心構えをしていた。


 そして、その時は突然訪れた。


「よう、久しぶりだな、結月」


 結月の背後には突如現れた朱羅が立っていた。
 結月は咄嗟に双剣を抜き、朱羅に切りかかろうとするが、その前に結月の首元には朱羅の持つ刀があてがわれていた。


「──っ!」


 その場にいた全員が戦闘態勢に入っているが、結月を人質に取られ身動きできずにいる。
 朱羅に見つからぬよう凛が自らの背中側で式神を作り出そうとするが、朱羅によって牽制される。


「おっと、動くなよ? こいつの首がどうなってもいいのか?」


 凛はおとなしく腕を降ろし、朱羅をにらみつける。


「結月、久しぶりだな」

「ええ、あなたのこと思い出した。昔、会ったことも」

「嬉しいねえ~!! もう忘れてるかと思ったぜ。なんせお前はまだ子供だったからなあ~」

 そう言うと、朱羅は結月を解放する。