「迎えにいったらお前の傍から決して離れない。お前を離さない」

「──っ!」

 結月は静かに言葉を紡ぐ。
 それに対し、朔は目を見開き驚いた。

「朔様だったのですね……あの少年は……」

「それは思い出さなくていい」

 そう言いつつ顔を背けて照れる朔。


「私たちはすでに出会っていたのですね」

「ああ」

 結月は涙を拭い取り、朔の顔を自分の顔のほうに向かせる。

「なっ!」

「私はあの時、侍女の方が傍からいなくなり、自分まわりの人はいつかみんないなくなってしまうのではないかと怖かったんです」

「……」

 結月の言葉に耳を傾ける朔。

「実際に父も母も、そして屋敷にいたみんないなくなりました。けれど、朔様は違った。本当に迎えに来てくださった。約束を守ってくださった」

(お父様、お母様、私は……私は……)

「私にとって、あの日のあの出会いこそが『初恋』でした。だから──っ!」

 結月が言葉を言い終える前に、朔は結月の腕を掴みそのまま口づけする。