朔は蔵の外に目をやると、入口のほうに向かって歩いていく。

「どこにいくの?」

「もう戻らなければ、千里様たちに迷惑がかかる」

「おにいちゃんもいっちゃうの?!」

 結月は朔の着物の袖を引っ張ると、涙目で目を見つめる。
 その手をゆっくり外し、結月の目線まで屈んで朔は告げる。


「俺はどこにも行かない。いつかお前を迎えに来る。そして、綾城に招待してやる。そして……」





『そして、迎えにいったらお前の傍から決して離れない。お前を離さない』