「このうさぎは相当価値の高いものだ」

「わかるの?」

「ああ、骨董商がよくうちに来ているからな。それに、一条家の治める綾城は美術品が盛んだ」

「こんなきれいなうさぎさんたちがたくさんいるの?」

「ああ。今度一度来るといい」

「うん!」

「ようやく笑ったな」

「え?」

「お前は無邪気に笑っているほうがいい。ずっと笑っていろ」

 結月は少し俯いて話し始める。


「ゆづきがわがままいったから、おねえさんはいなくなったのかな?」

「そうじゃない。仕方なくお前の傍を離れるしかなかったんだ」

「……」