幼い自分を見守るような父と母の笑顔。


 父に連れられて朱羅と初めて会った日。


 侍女と毬で遊ぶ楽しい日々。




 そして、一人の少年と交わしたあの言葉──




「──っ!」


「どうした?」


 結月は涙を頬に伝わせ、朔を見つめた。


(どうして思い出せなかったのだろう……どうして忘れていたのだろう……そうだ……あれは……)