「やはり愁明の(せがれ)は囮でしたね」

「ああ、よくまあ【宝玉(こんなもの)】まで精巧に作って騙そうとしたな……」

 朱羅の手が偽物の宝玉を握りつぶす。
 砕け散った欠片が朱羅の膝元や畳に落ちる。

「さて、そろそろ涼風の娘と一条家を潰しに行くか」

 朱羅の不気味な笑いが月の光に輝く。
 それに対し、魁は静かに頭を下げた──