「愁明家の倅か……」

「お前はそれをどこで知った?」

「どこも何も宮廷中が知っております」

「そんなはずはない。今回の一件、現場を見たのは二条永遠(とわ)だ。そして、俺は美羽に凛が犯人だということに関して、箝口令(かんこうれい)を引くよう命じ、今に至る」

「──っ!」

「つまり、宮廷で愁明家が【宝玉】を盗んだことを知っているのは、盗んだ凛と通じていた者だけだ」

「まさかっ!」

「ついでに言っておくと、今回の一件は敵と内通する者をあぶりだす凛の策だ」

「くっ!」

「残念だったな。こいつを連れていけ」

 朔の言葉に従い、捕縛部隊が内通者を連れて行く。

「朔様っ! お待ちくださいっ! 朔様っ!」

 朔は内通者の慈悲を求める声に耳を傾けなかった。