「……ん…………」

 結月はそこで目が覚めた。寝ている布団の横には二つの刀が置かれている。
 起き上がり、置かれた二つの刀を見つめて思う。

「そっか……。あの時……お父様は私にこの双剣を渡してくださった。どんな時も手放さないようにと……」

 結月は二つの刀を手に取り、棟区(むねまち)に刻まれた涼風家の刻印をそっとなでる。

(お父様……)

 今は亡き父親の面影を思い出しながら、結月は天井を見上げる。

「私は大切なものを守る【刀】とならなければならない。そのために私は生まれてきた」

 結月は自分の使命を感じながら、わずかに痛む身体で立ち上がった──