「だから、撤回しろ」

「え?」

「凛が好きだということ」

 結月はその言葉に、こみあげてくる嬉しさがあった。


「私は、うぬぼれていいのでしょうか?」

 結月は目を潤ませ、朔に言う。

「私は朔様の婚約者だと思ってもいいのでしょうか」

「婚約破棄した覚えはない」

 結月は朔へ近づくと、そのまま胸にもたれかかった。

「──っ!」

 結月のあまりの大胆な行動に、朔は珍しく困惑した。

「朔様……お傍にいさせてください」

「いろと初めから言っている」

「そうでした」

 結月は満面の笑みで朔を見つめた。
 それを見て、朔はふと笑った。