「あ、それと凛さんから伝言で、『あの日の借りは返しましたよ』と」

「……はぁ……わかった」

 結月は内容についてさっぱりわからなかったが、朔には伝わったようで安心した。


「結月、来い」

 自分の名が呼ばれる声に胸が高鳴る結月。

「侍女との口づけは誤解だ」

「え?」

「していない。顔を近づけられた際に断った」

 結月はその言葉に安心した。

(誤解だったんだ……)