「結月は渡さない!」

「ふ、お前の激情ぶりは久々だな」

「朔っ!」

「凛っ!」

 二人の男が刃を交え、想い人への感情をぶつける。

 朔が手を大きく振り、三日月型の衝撃波を放つ。
 凛はそれをするりと避けると、朔の懐に入り込む。

「──っ!」

 朔の頬から血が流れだす。

 朔は自分の頬を切り裂いた刃を握り締めると、凛を引き寄せる。
 そのまま囁くように発した。


「結月は俺のものだ」