「──っ」

 朔の顔がゆがむ。

 そして、刀と刀はぶつかり拮抗して静止し、お互いの顔が近づく。

「その顔が見たかった、朔。もっと本気になりなよ」

「十分本気だ」

「気に入らない! いつも澄ました顔をして全てを手に入れていく!」

 凛のイグの発動により、朔の刀は弾かれる。
 その反動で朔も後ろに引き下がる。

「昔からそうだ! 朔は全てを見通せて、全てを思い通りにしていく!!」

 凛が朔に再び切りかかる。

「──っ!」

 暗黙の了解でイグの使用は行わずにおこなっていた闘いは今、全ての力を使った闘いへと変化した。

 凛は青碧(せいへき)色の刀身を掲げ、朔に向かっていく。
 それに対し、朔も金色の刀身、そして大太刀へと変化させ、凛に相対する。

 凄まじい風が回りの竹藪をなぎ倒していく。

 刃が触れ合う度、刀身は悲鳴をあげる。