「──っ!」

 先制したのは凛だった。
 一気に刀を振りかぶって見せたが、それは見せかけで、実際は『突き』で相手の脇腹あたりを狙う。

「──っ!」

 それを寸でのところで避けた朔。
 二人は再び構えの姿勢になる。

「さすがだね、あの『突き』を避けるなんて」

「お前にしては珍しい策だな」

「朔を倒す、それだけのために今日は動いているからね」

「……」

 次は朔が一歩踏み込み、凛に切りかかる。
 その太刀筋に無駄はなく、凛の右肩を掠める。

 その攻撃にひるむことなく、凛は刀を朔の刀にぶつけ、自分の手首をひねりながら刀の勢いを殺す。
 刀の勢いが削がれたと同時に、すぐさま刀と自分の身体を引き、朔の左側に回って切りかかる。