「来ないかと思ったよ」

「……」

 朔と凛はある竹藪にいた。

「懐かしいよね……ここで何度も朔と稽古した」

「ああ」

「俺がいつも君に負けてた」

 凛が朔を真剣な表情で見つめる。

「けど、今日は絶対に負けない。俺のためにも、結月のためにも」

「やってみせろ」

 静かに二人は刀を抜き、構えを取る。
 風が音を立てて、竹藪の中をすり抜けていく。