宴会の席の最中、結月が席を立つと、庭のほうに朔の姿が見えた。

(朔様……?)

 結月はゆっくりと朔に近づく。
 朔は池を泳ぐ朱色の鯉を眺めながら結月に問う。

「凛とはうまくいっているのか?」

「え……?」

 結月は予想外の朔の言葉に驚いた。

「……はい」

「そうか」

 朔の言葉はそこで終わった。

(朔様……もっと話していたいのに……何を話せばいいかわからない……)

 結月と朔の静かな空間はこのあとも続いた。