「おねがい……『イグ』……あしをうごかして…………」
 
 少女の願いも虚しく、彼女自身の衰弱によりイグの力を発動することができない。
 
 
 もう少しで双剣に手が届くその時、ゆっくりと雪をかき分ける音が少女の耳に微かに入った。
 
 「……だれ……?」
 
 「────────」
 
 誰かが少女に話しかけるが、彼女にはもう届かなかった。
 
 
 次第に彼女は瞼が重くなり、ゆっくりと意識を失っていった。
 少女の手は双剣を強く握りしめていた──