──その夜。
凛は朔の自室を訪れていた。
「朔様、少しよろしいでしょうか」
「入れ」
凛がふすまを開けると、そこには書物に筆を入れる朔の姿があった。
「この間は邪魔をしたな、結月もおま……」
「譲りません」
凛は朔の言葉を遮り、発する。
その言動に朔は書物から目を離し、凛を見る。
「結月さんは譲りません。たとえ、朔であったとしても」
朔は筆をおき、再び凛の目をみて話す。
「あれは俺の婚約者だ」
「『仮初めの』だろ?」
凛の『昔の言葉遣い』にぴくりと顔が動く朔。
「本気なのか?」
「本気だよ」
「……」
「……」
部屋に沈黙が続く。
先に言葉を発したのは朔だった。
「結月はやらん。それでもお前がその気なら、いつでもいい奪って見せろ」
二人の男が宣戦布告した──
凛は朔の自室を訪れていた。
「朔様、少しよろしいでしょうか」
「入れ」
凛がふすまを開けると、そこには書物に筆を入れる朔の姿があった。
「この間は邪魔をしたな、結月もおま……」
「譲りません」
凛は朔の言葉を遮り、発する。
その言動に朔は書物から目を離し、凛を見る。
「結月さんは譲りません。たとえ、朔であったとしても」
朔は筆をおき、再び凛の目をみて話す。
「あれは俺の婚約者だ」
「『仮初めの』だろ?」
凛の『昔の言葉遣い』にぴくりと顔が動く朔。
「本気なのか?」
「本気だよ」
「……」
「……」
部屋に沈黙が続く。
先に言葉を発したのは朔だった。
「結月はやらん。それでもお前がその気なら、いつでもいい奪って見せろ」
二人の男が宣戦布告した──