──凛の部屋。


「さて、兵についてでしたね」

 先に座った凛が実桜にも座るように促す。

「いえ、凛さんのことです」

「? どういうことです?」

「凛さんが何について悩んでいるのか自分にはわかりません」

 凛は黙って、実桜の言葉を聞く。

「ですが、まわりは関係なく、凛さんのしたいようにしてください」

「──っ!」

 実桜の真っすぐな瞳を見て、全てを察する。
 凛は実桜の中で尊敬に値する存在であり、子供の頃からの憧れでもあった。
 それゆえに、凛がいつも『まわりに遠慮する』性格なのを知っていた。