「結月さん、こちらに来てお酒でも飲みませんか?」

「え……お酒……ですか……?」

 てっきり任務のことで呼ばれたと思っていた結月は、驚いた反応をする。

「ええ、お酒でも飲んで少し結月さんとお話がしたいと思ったんです」

「……それでは、お言葉に甘えて」

 縁側に座る凛のもとへ、結月は歩いていった。
 凛の差し出すお猪口(ちょこ)を受け取ると、凛の横に座って酒をついでもらう結月。

「すみません、ありがとうございます」

「いいえ」

 虫の声が心地よく耳に入る。
 しばらく自然の声に耳を傾けながら、二人で酒を飲む。

 結月の酒が半分になった頃、凛が口を開いた。