(凛さんに呼ばれたけど、何だろう……)

 妖魔退治を終えて仮眠をとった夕方、結月は凛に呼び出されて凛の自室兼執務室に来ていた。
 ふすまの前に立つと、結月は声をかける。

「凛さん、結月です」

「どうぞ」

 中から凛の声がしたのを確認し、結月はふすまを開ける。

「失礼します」

 中に入ると、そこは朔の自室とよく似た作りになっていた。

「──っ!」

 結月の脳内で昨日の出来事が頭をよぎる。
 その様子を凛は見逃さなかった。