「──っ……」

 朔が目を開くと、自らの身体の上に重みを感じた。

「……」

 ゆっくりとその重みのほうへ目を向けると、そこには結月がおり、身体を預けるようにして眠っていた。

(結月か……)

 よく見ると、涙が滲んでいた。

「朔様……」

 寝言で朔の名を呼ぶ結月。
 その言葉を聞いた朔は優しい顔つきになり、ゆっくりを手を結月に持っていく。

 その手は結月の目元に吸い寄せられ、涙を拭う。

(心配をかけた。俺は死なない、結月……)

 すると、安心したような顔つきになる結月。
 気持ちよさそうに寝返りを打つと、朔の胸にすり寄る。

「病人だということがわかっていないのか」

 朔は呆れつつも、自分の胸にすり寄る結月を可愛く思った。

「お前は昔から変わらない……」


 朔は昔を思い出していた──