結月は朔の目が開くことを待ち続けていた。
 薬草を選んでは煎じ、傷口に塗る。
 飲むものは本人の意識が戻らない今、飲ませられずにいた。

(この薬が効くはずだけど、意識がない状態では飲ませられない……)


 朔が倒れてから、三日目の夜になっていた。

(朔様……、目を開けてください……)


 意識回復を願うが、起きない朔。
 結月は意を決したように、薬を手にとった。

(早く良くなってください……)


「──っ」


 結月は朔の頭をわずかに上げると、そのまま薬を含んだ口を朔の唇へとつないだ。
 月明かりに照らされて二人の影が重なる。
 
 朔の身体に結月の口移しで飲んだ薬が入っていく。

(どうかお願い……)