涼風家の仇である朱羅を倒すこと。そのためにまずは妖魔退治の仕方を学ばなければならない。
婚約者として表に出ることによって、朱羅をおびき出すことが本当にできるのかと結月は改めて不安が重なった。
その様子を感じ取ったように、凛が結月に声をかけた。
「結月さん。私たちが全力でサポートします。朔様をはじめ、ここにいる全員が朱羅を倒す同じ目的に繋がった仲間だと思ってください」
「凛さん……」
「では、本日はひとまず、永遠(とわ)と美羽と共に基本作法を確認してください」
そういって、凛が立ち上がりその場を去ると、瀬那、蓮人、実桜と退室していき、残ったのは結月だけになった。
「やれるかな……これ……」
不安を覚えながらも、永遠(とわ)の案内により自室に戻る結月であった──
――――――――――――――――――――――――――――――――――
その日の夜──
盃を手に夜風にあたりながら、縁側で一人酒を飲む朔。
「入っていいといっていない」
ふすまを開けて部屋に入る人物に向け、口を開いた。
「お呼びになったのは朔様ですよ?」
暗い部屋からゆっくりと朔に近づいたのは、凛だった。
「二人のときにその呼び方はやめろ」
「ふふ。お年寄り方は腰を抜かしたのではありませんか? 涼風の娘が生きていた上に婚約者にするだなんて」
朔の近くまで歩みを進めると、近くにあった盃に酒を注ぎ飲み始める。
「うるさすぎて途中で出てきた」
「朔らしい」
クスっと笑いながら酒を口に運ぶ凛。
「信じられないの一点張りだ」
「まあ、死んでいたと報告した人間が生きているのもそうですが、自分たちに隠れてこそこそと匿っていたことが気に食わないのでしょう」
「くだらない」
朔の手にある盃の酒が空になると、慣れた手つきで新しい酒を注ぐ凛。
そのまま自分の分も注ぎ、月を眺める。
「なぜあそこまでそっけなくするのですか?」
「なんのことだ」
「結月さんですよ。『婚約者』なのでしょう? もっと優しくしてあげてもいいんじゃないですか?」
「必要ない」
そこからしばらく沈黙が流れる。
月を眺めながら草木の揺れる音に耳を傾ける。
ため息をつきながら、凛はつぶやく。
「困った幼なじみですね」
婚約者として表に出ることによって、朱羅をおびき出すことが本当にできるのかと結月は改めて不安が重なった。
その様子を感じ取ったように、凛が結月に声をかけた。
「結月さん。私たちが全力でサポートします。朔様をはじめ、ここにいる全員が朱羅を倒す同じ目的に繋がった仲間だと思ってください」
「凛さん……」
「では、本日はひとまず、永遠(とわ)と美羽と共に基本作法を確認してください」
そういって、凛が立ち上がりその場を去ると、瀬那、蓮人、実桜と退室していき、残ったのは結月だけになった。
「やれるかな……これ……」
不安を覚えながらも、永遠(とわ)の案内により自室に戻る結月であった──
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その日の夜──
盃を手に夜風にあたりながら、縁側で一人酒を飲む朔。
「入っていいといっていない」
ふすまを開けて部屋に入る人物に向け、口を開いた。
「お呼びになったのは朔様ですよ?」
暗い部屋からゆっくりと朔に近づいたのは、凛だった。
「二人のときにその呼び方はやめろ」
「ふふ。お年寄り方は腰を抜かしたのではありませんか? 涼風の娘が生きていた上に婚約者にするだなんて」
朔の近くまで歩みを進めると、近くにあった盃に酒を注ぎ飲み始める。
「うるさすぎて途中で出てきた」
「朔らしい」
クスっと笑いながら酒を口に運ぶ凛。
「信じられないの一点張りだ」
「まあ、死んでいたと報告した人間が生きているのもそうですが、自分たちに隠れてこそこそと匿っていたことが気に食わないのでしょう」
「くだらない」
朔の手にある盃の酒が空になると、慣れた手つきで新しい酒を注ぐ凛。
そのまま自分の分も注ぎ、月を眺める。
「なぜあそこまでそっけなくするのですか?」
「なんのことだ」
「結月さんですよ。『婚約者』なのでしょう? もっと優しくしてあげてもいいんじゃないですか?」
「必要ない」
そこからしばらく沈黙が流れる。
月を眺めながら草木の揺れる音に耳を傾ける。
ため息をつきながら、凛はつぶやく。
「困った幼なじみですね」