『お父様っ……お母様っ……』 泣きじゃくりながらも必死に双剣を両腕で抱きかかえ、裸足で雪の上を駆ける結月。 寒さも感じず、ただ屋敷が崩れ落ち、炎が轟々と鳴り響く。 結月が振り返ると、確かにいた。 炎の中で刀を持った人影が……。 人影を見つめる結月の眼には、見るのを阻むかのように、崩れた大きな柱が移り込む。 やがて、人影が見えなくなった。