「攻撃に特化しすぎてしまうのですよ。でも、今は主人を守るため、幼なじみと共に闘うため、私は刀を抜きます」


「なにをごちゃごちゃっ──!」

 朱羅は一気に気配の変わった凛を警戒して、後ろに一歩飛び退いた。

「お前のその姿は久しぶりだな、凛」

「私は『指揮官』ですから。攻撃に転じていたらあの子たちが自由に動けないでしょう?」

 凛は朱羅を見つめて照準を合わせながら言う。

「でも、今はあなたと二人だ。気を遣う必要もない、全力でいくよ、朔」

「ああ」

 朔は左手で持った太刀を前へ突き出し、凛は右手で持った刀を突き出す。

 二人の刀の切っ先は朱羅に真っすぐ向いていた。

 刹那、朔と凛は同時に床を蹴り、朱羅に向かって刀を振り上げる。
 朱羅は二人の刀を自らの刀で受け止め、苦しそうな顔をする。

「ほら、どうした朱羅。さっきまでの威勢はどこに消えた?」

 幼き頃、朔の前でしか見せないあどけなく好戦的な凛の姿がそこにはあった。