「私は刀を滅多に抜きません」


 凛はゆっくりと、結界でひるんだ朱羅に言葉をかける。


「それは、刀が苦手だからではありません」


 朱羅が怪訝な顔で凛を見つめる。


「逆です。刀が最も私に合った攻撃手段だからです」


 凛は青碧(せいへき)色の刀身をなぞるような素振りでイグの力を込める。