朔と凛はその夜、宮廷の縁側で月をみながら話していた。

「凛」

「はい、なんでしょうか」

「俺のせいで巻きこんで悪かった」

「お気になさらないでください。全ては父も一枚かんだはかりごと。私がとやかくいうことではありません」

「その自己犠牲、やめろ」

「え?」

「お前はその自己犠牲で俺に仕えるな。俺が一条家の当主になったとき、傍で支えるのはお前だ。そして、お前は俺の傍で俺を守るのではなく、『俺とお前』を守れ」

「──っ!」




(あの時、私は決心した。この人と共にこの綾城を守る。そして、一生朔に仕えると)

 朱羅の攻撃を凛の結界が阻む。
 そして、凛の構えた刀は、青碧(せいへき)色へと変化していった。