この事件は、二人の男が一条家の治世に不満を持ち起こした謀反として処理された。
 しかし、捕縛の最初の罪が『宮様のご子息誘拐』であったことは民衆の間では知られていない。
 当初、この二人の男たちの謀反の気配に気づいた一条家だったが、証拠を掴めずに捕縛が難航していた。
 そこで、朔が自ら荷車に忍び込み、疑似誘拐を起こすことによって捕らえることにした。
 
 全ては時哉と朔、刑部省(おさべしょう)の長である愁明家(しゅうめいけ)の当主であり、凛の父親である鏡花(きょうか)のはかりごとであった。