「そこまでだ」


 男は森の奥から聞こえる声に動きを止めた。
 朔はそれに対し、ぽつりとつぶやく。

「ようやく来たか」

 森の奥から、宮様こと時哉とその従者十名ほどが現れた。

「宮様っ?!」

 凛は時哉の存在に驚いた。
 それは二人の男も同じであった。

「息子を誘拐、そして一条家ゆかりのものを傷つけた謀反の罪で、お前たちを捕縛する」

 その言葉を合図に、従者たちが一気に二人の男を包囲して捕らえる。
 捕縛した様子を確認すると、時哉は朔と凛のもとに近づいた。