男が振り上げた刀は朔へと向かっていったが、朔はそれをひらりと避け、刀を空(くう)を切る。

「──っ!」

「刀の師範である兄貴の攻撃を避けた……」


 朔は腰にある鞘から刀を抜き、構える。
 男は再び刀を構え、朔を狙う。


「ぐっ!」

 すると、朔の後ろから凛の苦しそうな声がした。
 振り返ると、そこにはもう一人の男が放った吹き矢が、凛の左腕に命中していた。

「──っ!」

 朔は吹き矢を放った男ににらみをきかせる。
 そして、刀を持った男が再び朔に襲い掛かろうとした。