荷車は城下町へと向かうのを止め、森の中へと向かう。
 徐々に車輪の上がり下がりが激しくなり、荷車が揺れ始めるのを朔と凛は感じておかしさに気づく。

「凛」

「はい、これはあぜ道のような感じですね。少なくとも城下町へと向かってはいません」


 すると、急に荷車は停止し、荷車を引いていた男が声を出した。

「今日も通常通りだった。警備の配置も昨日と全く同じ。同じ時間に交代している」

「──っ?」

 朔と凛が静かに耳を澄ませる。

 すると、木の陰から一人の男が現れ、荷車の男に話し始めた。

「決行は明日だ。もう引き返せねえ。警備は明日も同じ配置さ、きっと」

「なら、好都合だな。宮様を暗殺したあと、そのまま一気に裏門から脱出できる」


「「──っ!!」」


 朔と凛は声こそ出さなかったが、目を見開いた。